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注文住宅の検討で間取り/資料/見積の一括請求はメリットなしの悪手である理由とは?

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注文住宅を検討していると、ブログ、Instagramなどでしばしば「複数のハウスメーカー・工務店に一括で無料の『間取り作成』『相見積』『資料請求』できるサービス」を紹介する内容を見たことはありませんか?

無料の一括相見積でハウスメーカーを相見積もりしたことによって、大幅値引きしてもらえて、安く建てることができました!

無料の間取り作成サービスで理想の間取りが何個も手に入りました!

一見それらしいことが書いてありますが、こういった「複数のハウスメーカー・工務店に一括で無料の『間取り作成』『相見積』『資料請求』できるサービス」は、マイホームを真剣に検討する人にとって、本当にメリットのあるサービスなのでしょうか?

私たちは、

全く検討者の役に立たないどころか、むしろデメリットが非常に大きい

と考えています。

kikorist夫
kikorist夫

敢えて言うなら、「悪手」です。

kikorist妻
kikorist妻

利用者のデメリットになることは私たちのポリシーに反します。そのため、私たちのブログでは一括資料請求は一切紹介しないことにしています(紹介してほしい旨の営業は頻繁に来ますが…)

kikorist夫
kikorist夫

もし当サイトで一括資料請求の広告が表示された場合は、自動表示広告なのでお許しください…。

私たちとX(旧Twitter)やInstagramで交流のあるハウスメーカーの営業・元営業・建築士に聞いても、「利用はオススメできない」というご意見でした

kikorist妻
kikorist妻

裏事情も分かっているプロの実務者が紹介していることがあるのはなおさら許せないとお怒りの方も…。

本記事では、なぜ無料の間取り作成/資料/見積の一括資料請求サービスは悪手だと考えられるのか、そして悪手にも関わらずなぜこのようなサービスが存在するのか、お勧めのハウスメーカーへのアプローチ方法について解説します。

kikorist妻
kikorist妻

メリットもありますが、デメリットが勝ると考えています…。

無料の間取り作成/資料/見積の一括請求サービスとは?

ブログ、Instagramなどを見ていると、「無料の間取り作成/資料/見積の一括請求サービス」(以下、一括資料請求サービス)が紹介されているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

kikorist妻
kikorist妻

たとえば、town life(タウンライフ)やLIFUL HOME’s(ライフルルームズ)といったサービスです。

簡単に言えば、サービス提供会社と提携している、複数のハウスメーカー/工務店などに、間取り・見積・カタログ資料などを一度に請求できるというサービスです。

利用者は名前や住所などの個人情報を記入する代わりに、無料で利用することが出来るのが特徴です。

なぜ無料の間取り作成/資料/見積の一括資料請求サービスを紹介する人が多いのか?

なぜこぞって無料の間取り作成サービスを紹介するのかと言えば、単純。

簡単に儲かるからです。

こうした一括資料請求サービスは、紹介者が用意したリンクやボタンからサービスを利用すると、資料請求者1名あたり1万2,000円~1万6,000円ほどの紹介謝礼金(=アフィリエイト報酬)が入る仕組みになっています。

kikorist夫
kikorist夫

これって、実はとーーーっても美味しいのです。

Amazonや楽天の商品紹介のアフィリエイトは売上金額の2%が一般的な報酬額です。紹介したリンクやボタン経由で商品が50万円売れて、やっと1万円の収入になります。商品を購入してもらうのも、売上金額もかなりハードルが高い

それに対して、一括資料請求サービスは無料の資料請求をしてもらうだけで、1万数千円。仮に10名が無料の資料請求をすれば、それだけで十数万円です。

報酬発生のハードルが非常に低いのに、報酬は超高額

だから、報酬目当てにみんなこぞって紹介するというわけです。

kikorist夫
kikorist夫

でも、「本当にそれって利用者のためになるんですか?」というのが本記事の趣旨。

kikorist妻
kikorist妻

収益化自体はいいと思うんだけど、デメリットがあるものをさも素晴らしいサービスのように紹介して儲けようというのはどうなの…。

なぜ間取り作成/資料/見積の一括資料請求サービスは無料で利用することができるのか?

無料で会社やサービスを運営できるわけはありませんし、紹介者に多額の報酬を支払わなければならないので、当然誰かがその費用を負担しています

誰が費用を負担しているかと言えば、一括資料請求サービス会社と提携しているハウスメーカー/工務店です。

利用者1名あたり紹介報酬が1万数千円だとしても、まとめて複数社資料請求をしますので、ハウスメーカーが負担している費用は利用者あたり数千円といったところで、それほど大きな負担ではありません。

kikorist夫
kikorist夫

ハウスメーカー同士がお金出し合って、注文住宅検討者の個人情報を共同購入しているようなイメージ。

kikorist妻
kikorist妻

なんだか名簿売買みたい。

kikorist夫
kikorist夫

実際名簿売買に近いと思うよ。

一括資料請求サービスを申し込むと、個人情報がハウスメーカーに共有され、利用者の元に資料やカタログが届きます。場合によっては、それらの資料送付とあわせて電話/メールなどでの営業があります。

住宅購入検討者から見た間取り作成/資料/見積の一括資料請求サービスのメリットとは?

利用者側はこういった一括資料請求サービスを利用することは、メリットはあるのでしょうか?

一括資料請求サービスのメリットとして説明されることが多いのは下記の3つです。

本当にメリット?
  • 複数の相見積もりを使って大幅な値引きを引き出すことができた
  • 間取りのいいとこどりをして住みやすい間取りができた
  • 一度に複数社の資料請求ができた

それぞれ実際どうなのか見ていきましょう。

まともな見積や間取り提案は期待できない

①②は、一度でも家づくりをしたことがあるのであれば、資料請求でまともな見積や間取り提案が受けられないことは誰もが分かっているはずです

家づくりでは、担当者と何度も打ち合わせしながら時間をかけて間取りを検討し、金額の調整や交渉をします

また、ハウスメーカー側も本当に施主のことを考えた間取り提案や見積作成には、営業だけでなく設計や事務など多くの人の多大な労力と時間をかけています

kikorist妻
kikorist妻

普通に考えて、顔も見たことがない/話したこともないような資料請求の相手に全力投球するわけがありません。

kikorist夫
kikorist夫

適当にプラン集(各ハウスメーカーには建売住宅や過去事例などを集めた間取りのプラン集が存在します)からコピーした間取りや概算見積が届けばまだいいほうで、カタログが数冊届いて終わりということがほとんどです。

一括資料請求サービスのクチコミサイトから一部紹介します。

kikorist夫
kikorist夫

そりゃ現地見たり直接会って話聞かないと提案のしようもないよねと…。

特に土地が決まっていないなら間取りの作成なんてできるはずがありません。

仮に資料請求で見積をもらえたとして、詳細も詰めていない見積を、希望メーカーの当て馬の相見積に使ったところで、本当に安くなると思いますか?

残念ながら、そんなことで安くなるほど甘くはありません

一括資料請求サービスのクチコミには、ハウスメーカー営業の本音も書かれています。

これが資料請求に対する多くの営業担当者の正直な印象ではないかと思います。

ハウスメーカーにとって、お客様は平等ではありません。ヒト・モノ・カネのリソースが限られている以上、対応には優先順位があります。

私たちがハウスメーカーを選ぶ権利があるのと同様、ハウスメーカー側にもお客を選ぶ権利があります。

その中で、資料請求者は対応の優先順位が低いというのが現実です(もちろん例外もあるでしょうが)

kikorist夫
kikorist夫

X(旧Twitter)やInstagramで交流のある大手ハウスメーカーの住宅営業に聞いてみましたが、概ねそのようなご意見でした。

確かに手軽に複数社の資料は一度に入手できます

確かに、一括資料請求サービスでは、手軽に複数社の資料は一度に入手できるのはメリットと言えます

ただ、そもそもメーカーのカタログで得られる情報はほとんど役に立ちません

kikorist夫
kikorist夫

耐震性や構造などの説明は載っていますが、そもそも、具体的な設備や金額例も書かれていません。

個人的には、カタログを見たところハウスメーカー選びの判断材料にはあまりならないというのが率直な感想です。

その一方で、デメリットがかなり大きいと考えます

検討者から見た間取り作成/資料/見積の一括請求サービスのデメリットとは?

一括資料請求サービスのデメリットは、次の通りです。

一括資料サービスのデメリット
  • 自動的に営業担当が決まってしまう(そしてその担当を変更するハードルはかなり高い)
  • 紹介制度/割引が利用できなくなる
  • 資料請求で割り当てられる営業担当のレベルが低い

①自動的に営業担当が決まってしまう

資料請求をすると、大切な家づくりのパートナーとなる営業担当は、自動的に決まってしまいます

そういう業界慣習である、としか言いようがありませんが、資料請求者にそのつもりがなくても、個人情報がハウスメーカーに伝達された時点で、勝手に担当が決められてしまいます。

そして、一度決まった営業担当を変更することはかなり大変です

住宅営業の給与体系は成果報酬部分が大きく、営業の成績=給与にも関わるために簡単に営業担当を変更することは難しいのです。

kikorist夫
kikorist夫

縄張り意識的な…。

社内の同僚も言ってみればライバルというわけです。

②紹介制度/割引が利用できなくなる

一括資料請求サービスを利用すると、自動的に担当が付く関係で、オーナー施主から営業担当を紹介してもらうことができる紹介制度や、紹介割引が利用できなくなります

後述しますが、紹介制度の利用は、営業担当ガチャの要素を回避し、優秀な営業担当についてもらう一番の方法ですが、それが利用できなくなるのは大きなデメリットです。

また、オーナー紹介で適用される紹介値引きも適用されません。仮に3%の値引き率だとすると、4,000万円の契約では120万円もの値引きが得られなくなります

③資料請求で付く営業担当のレベルが低い

ただ、担当が決まったり割引がないだけならまだしも(それもキツイですが…)資料請求をきっかけに割り当てられる営業担当は、お世辞にもレベルが高いとは言えません(少なくとも傾向的には)

資料請求を契機に、優秀な営業担当が付くことはあまり期待できないと言えます。

もちろん、なかには「自分は資料請求から素晴らしい営業に出会えた」という人もいるかもしれません。…が、それはイチ施主の結果論であり、全体を見れば少数派です。

kikorist夫
kikorist夫

家を建てたといことは、そのハウスメーカーや営業に満足して契約したということなので、「資料請求で良かった」というのは単なる結果論です。

kikorist夫
kikorist夫

これから家を検討しようという他人にも自信を持ってオススメできる方法かというと、そうではないはずです。

kikorist妻
kikorist妻

同じ営業にお願いしたいなら、資料請求を勧めるのではなく直接その営業を紹介してもらうのが一番確実ですよね。

資料請求で付く営業担当のレベルが低い理由を、ハウスメーカー側の視点に立って考えてみましょう

ハウスメーカーが優先対応したい顧客とは?

ハウスメーカーの顧客接点を、リーチ数とアポイント率で分類するとこのようになります。

ハウスメーカーの顧客接点のマトリックス
ハウスメーカーの顧客接点のマトリックス
kikorist夫
kikorist夫

リーチ数=顧客数、アポイント率=面談できる確率と考えてください。

顧客接点の分類

A) リーチ数は多いが、アポイント率は低い:一括資料請求サービス
B) リーチ数は少なく、アポイント率も低い:展示場接客(事前予約なし)
C) リーチ数が少ないが、アポイント率は高い:展示場接客(事前予約あり)/SUUMOカウンター/オーナー紹介

kikorist夫
kikorist夫

残念ながら、リーチ数も多くてアポイント率も高い手段は存在しません…。

これらの顧客接点に対して、ハウスメーカーの優先順位と割り当てられる営業担当を、A~Cでまとめたのが下の図です。

ハウスメーカーの対応優先度
ハウスメーカーの対応優先度
A) 一括資料請求サービス=ゴミの山

資料請求は手軽で多くの顧客リストが得られますが、先の営業のクチコミにもあったように、資料請求者はほとんど面談には繋がりません

kikorist夫
kikorist夫

この記事を読んでいる方のなかには「ちゃんと面談するつもり」という方もいるかもしれませんが、資料請求利用者全体で考えると繋がらないということです。

資料請求は量は多いのにアポイントには全然繋がらない

簡単に言えば、望み薄の大量のリスト=ゴミの山です。

ハウスメーカーにしてみれば、こんな非効率な仕事を貴重な売れっ子エース営業にさせるわけがありません