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住友林業で建築中のkikorist新邸での「ホームシアター導入記」シリーズ。「kikorist新邸という実例を通して、どのように注文住宅にホームシアターを構築していくのか」という過程を丁寧に紹介していきます。
前回の記事はこちら。
本記事では、ホームシアター導入の前提となる、スピーカーレイアウト及びサラウンドの前提知識について解説します。
スピーカーの基本的な配置
kikorist新邸について解説する前に、前提知識としてホームシアターにおけるスピーカーの配置について解説しておきます。
ホームシアターを導入する上では避けては通れない部分です。
ステレオ(2ch)
ステレオサウンド
は単純に、視聴位置前方(フロント)の左右にスピーカーを配置した2ch(チャンネル=スピーカーの数)のパターンです。左右からそれぞれ違う音が出るので、ある程度の方向感があります。昔のテレビはステレオサウンドでした。
集中して純粋に音楽を聴きたい場合(ピュアオーディオと言います)は、2chにしてその分、ステレオアンプと2つのスピーカーに予算をつぎ込むこともあります。
ステレオはあくまで「音楽」に集中するための環境で、映画の臨場感を楽しむというホームシアターとは少し方向性が違います。
なお、2つ(もくは複数)あるスピーカーから全く同じ音声を流すことをモノラルと言います。
ホームシアターは5.1chのスピーカーレイアウトが基本
ホームシアターのスピーカーの配置は、5.1chというスピーカーレイアウトが基本です。
これは5つのサラウンドスピーカー(フロント、センター、サラウンド)と、1つのサブウーファーで構成されるサラウンド環境という意味です。
※フロント、センターを一般にサラウンドスピーカーと呼ぶことはあまりありませんが、Dolby社の説明標記に従って、そのように表記しています。
5つのサラウンドスピーカーのベストな配置は、角度を含めてDolbyが定めています(詳しく知りたい方はDolby社のウェブサイトを参照)。
あまりしませんが、サブウーファーを2つに増やした場合は5.2chとなります。
7.1chのスピーカーレイアウト
5.1chのレイアウトの左右後方に、2つのサラウンドバックスピーカーを追加したのが、7.1chのスピーカーレイアウトです。
5.1chと比較すると後方からも音が出るので、FPSゲームなどでは後方から近寄ってくる敵の足跡が明確に聞こえたりします。
基本のスピーカー配置はこの5.1chと7.1chの配置で、以下のレイアウトはこの2つのレイアウトの応用となります。
5.1.2chのDolby Atmosスピーカーレイアウト
基本の5.1chに、高さ方向の2つのスピーカー(トップスピーカー)を加えたのが、5.1.2chのDolby Atmosサラウンドです。
Dolby Atmosでは、天井もしくは天井に近い位置にトップスピーカーを配置することで、高さ方向の音を表現します。最後の「.2」が高さ方向のスピーカーの数を表します。
Dolby Atmosサラウンドは、DTS社が定義するDTS:Xサラウンドとともに3Dサラウンドと呼ばれ、ここ数年のBlu-rayディスクや配信サービスで採用が始まった最新のサラウンド音声フォーマットです。
よくオーディオショップなどでは、ヘリコプターが前後左右上下に飛び回るような映画のシーンがデモで使われたりしますが、圧倒的な臨場感が特徴です。
Dolby Amosは一部映画館でも導入されています(スピーカーの数はホームシアター用と全然違いますが…)。
基本は天井にトップスピーカーを配置するのですが、天井設置は、賃貸などではなかなかハードルが高いので、天井にトップスピーカーを設置する代わりに、フロントスピーカーやサラウンドスピーカーの上に追加スピーカーを載せて、天井の反響を利用して高さ方向の音を表現するドルビーイネーブルドスピーカーが使われることもあります。
5.1.4chのDolby Atmosスピーカーレイアウト
5.1.2chのDolby Atmosサラウンド環境に、高さ方向のスピーカーをさらに2つ追加したレイアウトが5.1.4chです。
その他のスピーカーレイアウト
家庭用で一般的なレイアウトは以上ですが、例えば7.1chにDolby Atmosスピーカーを足した7.1.2chや7.1.4chといったレイアウトも可能です。
NHKのBS 8K放送では22.2chというとんでもないスピーカーの数に対応しています(参考記事)。
どこまでスピーカーを増やすかは、求める内容と価格、設置環境次第ですね。
基本的には、5.1ch、7.1ch、5.1.2ch、5.1.4chでいいと思います。
サラウンドのフォーマット
なお、サラウンドの音声フォーマットについては、本記事でメインで解説しているDolby社の開発したフォーマットのほか、DST社の開発したフォーマットがあります。
Dolby社のフォーマット
フォーマット | 最大SP数 | 概要 |
Dolby Digital | 5.1ch | 不可逆圧縮音源 DVDソフト向け |
Dolby Digital Plus | 7.1ch | 不可逆圧縮音源 Blu-rayソフト向け |
Dolby TrueHD | 7.1ch | 可逆圧縮音源(ロスレス) Blu-rayソフト向け |
Dolby ProLogicIIz | 9.1ch | 5.1ch/7.1chから前上の左右を仮想生成 |
Dolby Atmos | 9.1.6ch | 可逆圧縮音源(ロスレス) オブジェクトオーディオ |
表の下に行くほどが新しく、上位規格だとお考えください。
不可逆圧縮というのは、元のマスター音声データを圧縮して収録しており、それを再生時には完全には復元でないという意味です。Dolby TrueHDなどの可逆圧縮とは、元のマスター音声データの復元が可能で、スタジオデータと全く同じ音声が再生可能という意味です(欠損がないのでロスレス)。
DTS社のフォーマット
フォーマット | 最大SP数 | 概要 |
DTS Digital Surround | 5.1ch | DVDソフト向け |
DTS-HD Master Audio | 7.1ch | 可逆圧縮(ロスレス)音源 Blu-rayソフト向け |
dts Neo:X | 11.1ch | 5.1ch/7.1ch/9.1chから前上の左右/後の左右を仮想生成 |
DTS:X | 7.1.4ch | 可逆圧縮音源(ロスレス) オブジェクトオーディオ |
同じく下に行くほど新しい上位規格です。
Dolby社とDTS社の違いは?
Dolby Laboratories, Inc.も DTS, Inc.、映画を含む映像・音響の再生技術の研究、開発を行う米国の企業で、ライバル会社にあたります(設立はDTSのほうが新しい)。
Blu-ray規格(ULTRA HD Blu-ray規格含む)では、Dolby DigitalとDTS Digital Surroundの両対応が必須で、Dolby TrueHDやDTS-HD Master Audioなどはオプション(選択式)となっています。オプションの音声ではDolby TrueHD、Dolby Atmos、DTS-HD Master Audio、DTS:X、いずれのフォーマットを採用するかは作品によって異なります。
Blu-rayのパッケージなどを見れば、どの音声フォーマットが収録されているか分かります。
ファンタスティックビーストの場合、オブジェクトオーディオとしてDolby Atmos、ロスレス音源として5.1chのDolby TrueHDとDTS-HD Master Audioが収録されており、それらが再生できない環境ではDolby Digitalで再生されることが分かります。
Dolby社とDTS社の両社のフォーマットは基本的に上位互換で、最新規格に対応していれば下位規格/旧規格にも対応していると思って問題ありません。つまり、Dolby AtmosとDTS:Xに対応していれば、Dolby社とDTS社の現在の主要な音声フォーマットには対応が可能ということです。
また、Dolby TrueHDに競合するフォーマットがDTS-HD Master Audio、Dolby Atmosに競合するフォーマットがDTS:Xです。AVアンプがDolby Atmosに対応していれば、同世代のDTS:Xにも対応していると考えてOKです。
従来のフォーマットと、最新のDolby AtmosやDTS:Xとの違いは?
音声に対する考え方が違います
。
従来のフォーマットはチャンネルベースというもので、どのスピーカーからどの音を再生するかあらかじめ指定した上で収録されていました。
それに対して、Dolby AtmosやDTS:Xはオブジェクトベース(オブジェクトオーディオ)と呼ばれ、1つ1つの音をオブジェクト(物体)として捉え、その絶対位置をX軸、Y軸、Z軸で指定し、音を出すスピーカー(チャンネル)は指定しません。指定された座標に音を定位させるのに、その環境において最適なスピーカーがAVアンプによって計算・選択されるため(音を鳴らすスピーカーは複数の場合もあるし、スピーカーごとに成分が異なる場合もある)、より立体的な音場表現が可能です。
最新のULTRA HD Blu-rayディスクでは、Dolby AtmosやDTS:Xといったオブジェクトオーディオのフォーマットで収録されている作品も多いので、これからホームシアターを構築するのであればオブジェクトオーディオへの対応は必須と言えます(スピーカーの設置が環境的に可能ならばですが…)。
サラウンドを再生するために必要なこと
スピーカーを沢山用意すればサラウンドが再生できるというわけではありません
。スピーカーの数と配置は必要条件で、十分条件ではありません。
サラウンドを利用するには、スピーカーの数と配置に加えて、利用するコンテンツ(Blu-ray/DVDディスク/配信サービスなど)、プレーヤーやレコーダーなどの再生機器、AVアンプがDolby Atmosや5.1chなど再生したい音声フォーマットに対応している必要があります。
AVアンプとは、複数のソース(入力)のセレクターと、音声をスピーカーへの出力するためのアンプ(信号増幅)を兼ねた機器です。
BDレコーダーや、PlayStation5、Switch、FireTV、AppleTVといった複数の機器をつなぎ、どの機器を再生するかを選択し、選択したソース(入力)の機器の音がスピーカーから出ます。
AVアンプによって対応するスピーカーの数が違います(もちろん対応スピーカーが多いモデルほど価格が高い)。下記はDENONのラインナップと対応スピーカーの数をまとめた表です。
モデル | 希望小売価格(税込) | 対応スピーカー数 | HDMI入力 | HDMI出力 |
AVC-A110 | 748,000円 | 13.2ch | 8 | 3 |
AVC-X8500H | 528,000円 | 13.2ch | 8 | 3 |
AVC-X6700H | 363,000円 | 11.2ch | 8 | 3 |
AVR-X4700H | 198,000円 | 9.2ch | 8 | 3 |
AVR-X2700H | 99,000円 | 7.2ch | 6 | 2 |
AVR-X1600H | 65,450円 | 7.2ch | 6 | 1 |
AVR-X550BT | 38,500円 | 5.2ch | 5(4K対応は3) | 1 |
例えばAVR-X4700Hであれば、9.2chの標記ですが、9チャンネル分のアンプが内蔵されているという意味であり、これを9.2chとして使うか、Atmos環境の5.1.4ch、7.1.2chとして使うかは設定で変更できます。
もちろん9チャンネル分のアンプと2チャンネル分のサブウーファー出力があるからと言っても全部使う必要はなく、5.1chや極端に言えば2ch(=フロント左右のステレオ)として使っても問題ありません。
また、高さ方向の音を収録した音声フォーマットはDolby Atmosと呼ばれますが、これを楽しむためには、再生するコンテンツにDolby Atmos音声が収録されており、AVアンプやプレーヤーもDolby Atmosの再生に対応していることが条件です。
せっかくコンテンツがDolby Atmosを収録していても、AVアンプが対応していなかったり、プレーヤーが対応していなければ意味がありません。
例えばAVR-X550BTは5.2chまでしか対応できないので、Dolby Atmos用のトップスピーカーが取り付けられず、Dolby Atmos音声フォーマットの再生にも対応していません(する意味もない)。
AVアンプがDolby Atmosに対応していない場合、仮にコンテンツやプレーヤーがDolby Atmosに対応していても、Dolby Atmosでは再生されず、代わりにDolby TrueHDオーディオなどAVアンプが対応している音声フォーマットが自動で再生されます。
ちなみに、古い映画やアニメではモノラル音声(1ch)やステレオ音声(2ch)しか収録されていない場合がありますが、これはAVアンプ側の設定次第で、ダイレクト再生(収録されたチャンネル数そのままで再生)も可能ですし、多チャンネルスピーカーのサラウンドに変換して再生することもできます。
今どきの5.1ch対応のAVアンプであれば、4K HDR信号とDolby TrueHDオーディオ、DTS-HDオーディオに対応していれば特に問題ないでしょう(PS5などの最新世代のゲーム機もプレイする場合は4K 60P対応も確認しておきたい)。
7.2ch以上のAVアンプであれば、上記に加えてDolby Atmosオーディオに対応しているか確認してください。
ホームシアターにオススメの機材や選び方は別途記事にまとめる予定です。
スピーカー配置に厳密にこだわる必要はない
サラウンドフォーマットを開発しているDolby社は、理想的なスピーカー配置としてリスニングポイント=視聴位置からの角度まで定めていますが、必ずしもこの角度・配置にこだわる必要はありません。
高さ方向の角度まで決められてる…!
専用のシアタールームであればまだしも、リビングシアターではこのような配置はかなり困難です。
理想的ではないスピーカー配置であっても、ほとんどのAVアンプには付属のマイクでスピーカー設置環境を測定・分析し、最適な音場/音響になるよう調整する機能が搭載されています。