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家づくりを始めた当初は気になるのが「坪単価」。
ネットにも住宅メーカーの平均坪単価とか平均棟単価などが掲載されていて、私たちも気になりました。
…が、家づくりをしていくと「平均」坪単価というのは何の参考にもならないことが分かります。
いきなり結論ですが…
本記事では、坪単価の仕組みと参考にならない理由、住友林業の坪単価について解説します。
なお、2022年7月に発表された最新の坪単価はこちらの記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
坪単価とは?
坪単価の定義
実は「坪単価」という言葉に明確な定義がなく、ハウスメーカーによって定義がまちまちです。
坪単価=本体価格/延床面積
とされることが一般的ですが、ハウスメーカーによっては分母を「施工面積」にしているケースもあります。
坪単価=本体価格/施工面積
「施工面積」はベランダや小屋裏収納、地下室、吹き抜け、ビルトインガレージ、玄関ポーチなどハウスメーカーが工事を行う場所の面積です。
施工面積には建築基準法で延床面積には含まれない部分も含むため、各階の床面積を合計した延床面積よりも広くなります。
施工面積>延床面積
そのため、「施工面積」を分母とした場合は、「延床面積」を分母にしたときよりも、見かけ上は坪単価が下がることになります。したがって、坪単価を安く見せたいメーカーなどがこの基準を採用することがあります。
では、延床面積で算出するのが正しいかというとそういうわけでもありません。
バルコニーやインナーガレージ、吹き抜けを作るのにも当然工事費用はかかっているので、それらを含めない「延床面積」は実態を反映しているとは言い難いのです。
さらに、延床面積が同じ建物でも、インナーガレージや大きなバルコニーや吹き抜けがあれば当然建築費は高くなるわけで。
施工面積も、室内と屋外の割合はそれぞれの家で全く違うし。
この時点で既に意味がない気がする…
各ハウスメーカーの平均坪単価
とはいえ、ハウスメーカーを検討する段階では一度は気になるのが坪単価。
毎年住宅産業新聞が、毎年7月頃に昨年度の大手ハウスメーカーの平均等単価と平均延床面積を発表しており、それをもとに平均坪単価が算出できます。
この表で見ると、2019年の住友林業の坪単価は101.4万円となっており、2009年以降一貫して上昇していることが分かります。
一方で、平均延床面積も年々減少していることも分かります。
小さい家が増えてるってことかな?
あまり実感はないけど…。
延床面積が減少すると坪単価は上がる傾向にありますが、それでもここ10年で25万円近く上昇しており、かなり価格が高騰していることが分かります。
3年前と比較しても6万円近く上昇…。
30坪だと180万円もの上昇ね。
坪単価があまり参考にならない理由
上記の通り、ある程度のトレンドなどは分かりますが、個人的には平均坪単価はあまり参考にならないと思っています。
平均坪単価×延床面積だけで家が建てられるわけではないし、そもそも間取りや設備で坪単価は全然違うし。
以下では、坪単価が参考にならない理由を説明していきます。
理由1:平均のマジック
「平均坪単価」は計算上、実際にそのハウスメーカーで建てる「平均的な家」と比較して高く出がちです
。
これは、平均のマジックによるもの。
住宅価格はどんなに小さい家でも最低限の建築費はかかる一方、上限の価格はありません。そのため、基本的に「平均坪単価」は、そのメーカーで一般的な人が建てる家の金額よりも高くなります。
また、高額物件を建てるオーナーが多いハウスメーカーほど「平均坪単価」は高く出がちです。
例えば、三井ホームは、開業医向けに医院併設住宅の専用リーフレットを作ってるくらい開業医やドクターのオーナーが多いの。
そのため、三井ホームは高額物件の影響が大きくて平均単価が高くなりがち。
「多くの人が建てる一般的な」という意味での平均的な坪単価はもっと低いはず。
したがって、富裕層・芸能人・政治家など高額顧客が多いようなハウスメーカーや賃貸併用住宅が多いハウスメーカーの坪単価は一般的な家よりも高めになっていることに留意する必要があります。
このようなアッパー層に影響されるようなデータは、統計的には「平均値」ではなく「最頻値」(一番建てる人が多い価格帯)で比較すべきです。
理由2:同じ延床面積でも坪単価は変わる
同じ延べ床面積でも、矩形(くけい:建物の形)で坪単価は変わります
。
延床面積が同じでも、外壁の長さが変わるとそれだけ建築費はかかります。
また、一般に同じ床面積であれば2階建てよりも平屋(=1階建て)は高額になります。これは屋根や基礎といった建築費の中でも高額な部分が、平屋のほうが面積が広くなるためです。
極端な例で言うと、家の中心に中庭を設けたコートハウスの平屋と、総2階の建物では、同じ床面積でも建築費は全然違う結果に…。
同じ延床面積だったとしても、同じ坪単価で建てられるわけではないの。
理由3:坪単価は延床面積が大きいほど安くなる
同じメーカーの同じ商品であっても、坪単価は延床面積によって異なります。
具体的には、延床面積が小さいほど坪単価は高くなります。
延床面積が減ってもキッチンやバス、トイレなどといった住宅設備がそれに比例して減ることはなく、延床面積にあまり左右されません。
キッチンは延床面積が小さくなっても1つは必要。
他にも建物の工事にかかる人件費や足場などの費用も最低限発生する部分があります。
したがって、延床面積が半分になったからといって、建築費が半額になるわけではないのです。
家が小さくなればこれらの住宅設備や固定費などが占める金額の割合が増えることになり、建築費は思ったほど減らず、坪単価は上がることになります。
建てる家の大きさによって坪単価が変わるなら、坪単価を知っても意味がない…。
平均坪単価ではなく「自分たちの家の大きさの場合にいくらなのか」が大事です。
理由4:オプション(=提案工事)の存在
オプションをどれくらい付けるかによっても、坪単価は変わります
。
オプションを追加すれば追加するほど、当然ですが坪単価は高くなります。
例えば、kikorist新邸のように1,000万円以上の提案工事を追加した場合、延床面積43坪だとして20万円以上坪単価は変わります(そして、分母を延床面積(43坪)にするか施工面積(53坪)にするかによっても全然違う…)。
kikorist新邸ほどではないにしても、太陽光発電を付けるか付けないかで100万円単位でオプション金額は変わります。
そもそも公表されてる数値も各ハウスメーカーによってオプションを含む含まないが分からないし…(何をもって棟単価としているかは非公表)。
高額物件に左右される平均値ではなく、一般的な床面積の棟単価(1棟の本体工事+オプションの合計)にどれくらいオプションが含まれているのか分からないとあまり参考にならないと思います。
例えば、一般的な棟単価が3,500万円だとして、オプションが200万円と分かっていれば、自分たちのオプションはそれより多いのか少ないのかである程度計算ができますが…。
結論:坪単価は結果論であり、選ぶ際の参考にはならない
ここまで見てきたように、坪単価は定義が曖昧な上に、同じ床面積であっても、矩形や建物の階数、オプションの多寡によって全く変わってきます。
結局、坪単価というのは、「これまで建てた施主が結果この金額だった」という結果論であり、同じ家が存在しない注文住宅においては、あまり比較や予算感の参考にはならないのではないかと思います。
これまで見てきたように年々坪単価も上昇してるし。
例えば、kikorist夫婦が見積を依頼した各ハウスメーカーの坪単価は、住宅産業新聞のデータでは高い順に下記の通りです。
住友林業>ヘーベルハウス>積水ハウス>ダイワハウス
ですが、実際に提案された間取りでの見積金額は下記の結果となりました。
※いずれも3階建てのビルトインガレージで、延床面積はほぼ同様です。設備仕様はほぼ同等、値引き後。
ダイワハウス(軽量鉄骨)>住友林業(木造)>ヘーベルハウス(重量鉄骨)>積水ハウス(木造)
坪単価ランキングでは一番安いはずのダイワハウスが一番高額という結果
になりました。それも重量鉄骨のヘーベルハウスよりもです。逆に2番目に高い積水ハウスは一番安い結果に(それも頭1つ抜けて安い)。
私たちの例を見ても、間取りや矩形、建築面積によって建築費や坪単価は上下するということが分かります。
しかも坪単価には、地盤改良費やガス・水道・電気などの付帯工事費、設計費用や申請費用などの諸費用、照明/エアコン/カーテン、外構費など、本体工事以外に必要な費用はたくさんあるしね…
坪単価は各メーカーの価格帯を分類するときには役立つ
坪単価はメーカーを厳密に比較/選定する際にはほとんど参考になりませんが、おおまかに各メーカーの価格帯を分類し、訪問するかどうかを判断するくらいであれば役立ちます。
詳しくはこちらの記事でまとめていますが、各ハウスメーカーはおおまかに低価格(ローコスト)・中価格・高価格に分類ができ、極端に設備仕様に差がなければこれらの価格帯の間で坪単価が上下逆転することはありません。
上に挙げたメーカーと比べた場合、住友不動産なら、高価格帯のメーカーよりも400~500万円は安い感じでした。
ただし、同じ価格帯の中では「提案内容によって上下の逆転はある」=「データの坪単価はあてにならない」ということになります。
住友林業の坪単価は?
先ほど見たように、2020年に発表された最新の住宅産業新聞のデータ上は、住友林業の平均坪単価は2019年度で101.4万円ということになります。
kikorist夫婦の坪単価は?
上記を踏まえて、住友林業の坪単価をkikorist夫婦の実際の金額と比較してみます。
(建物本体価格は住友林業との約束上、公開できないので詳細な金額を伏せさせていただいています。)
結果は…
全然当てはまらない…
やっぱり…
オプションを除いた本体工事費を延床面積で割った坪単価では、データの金額よりもかなり安い
です。
一方、オプションを含めた建物工事費を延床面積で割った坪単価では、データの金額よりもかなり高くなります。
オプション入れると坪単価が25万円以上変わるから当然ね…。
加えて、kikorist新邸の場合はビルトインガレージを採用しています。法律上は延床面積の1/5以下の車庫は延床面積に算定する必要がないので、延床面積からは除外されていますが、実際にはビルトインガレージの7.5坪にも施工費が発生しています(土間コンクリートだったり、内部にも防水処理&シーサンドコート)。
今回はビルトインガレージは延床面積から外れましたが、仮にビルトインガレージが2台分の場合は、1/5を越えた面積は延床面積に算定する必要があります。
こうした延床には入らないけど、施工費がかかる部分を計算上どう扱うかも難しいところです…。
どちらにせよ、データ上の平均坪単価というものが、実際に家を建てる際にはあまり参考にならないのは確かです。
本記事のまとめ
本記事では、住友林業の坪単価について解説しました。
- 坪単価=本体価格/延床面積 ※場合によっては施工面積
- 坪単価の「平均値」は高額物件の影響を受けるために高く出る
- 同じ延床面積でも矩形や構造によって坪単価は変わる
- 同じ仕様でも延床面積が小さいと坪単価は高くなる
- オプションを入れるかどうかによって坪単価は変わる
- 坪単価は結果論。
- 坪単価はハウスメーカーのおおよその価格帯の分類くらいなら役に立つ
- 坪単価は厳密なハウスメーカー選定には役に立たたない
結論、公表されているデータ上の平均坪単価はあまり参考にならないということです。
間取りや仕様によって坪単価が変わってきますので、データだけで判断せず、実際に興味のあるハウスメーカーには実際のプラン提案と見積を依頼するのが一番だと思います。
その結果、公表されているデータよりも高いこともあれば低いこともあると思います。
私たちのハウスメーカー選定についてはこちらをご覧ください。
参考になれば幸いです。
既に完成してwer内覧会している方のブログは特に参考になるはず。