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木造住宅を提供する住友林業が採用するのは、独自のビッグフレーム構法(BF構法)です。
ビッグフレーム構法(BF構法)とは、従来の木造工法である軸組工法(在来工法)や枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の欠点を解消し、木造でありながら鉄骨なみの大開口・大空間を実現しつつ、鉄骨以上の高い間取りの自由度を実現した工法です。
本記事では住友林業の木造工法であり魅力でもある、ビッグフレーム構法(BF構法)の特徴とそのメリット、デメリットについて分かりやすく解説します。
上棟を見るとビッグコラムの頼もしさを否が応でも感じます。
ビッグフレーム構法とは
ご存知の方も多いかと思いますが、住友林業は木造住宅のハウスメーカーです。
木造には大きく分けて、「軸組工法」、「枠組壁工法」、「次世代工法」の3種類の工法があり、住友林業が採用するのが「次世代工法」に位置付ける「ビッグフレーム構法」です。
「次世代工法」は住友林業独自の呼び方で、一般には「SE構法」や「シャーウッド工法」のような「金物工法」、「ビッグフレーム構法」など、従来の「軸組工法」/「枠組壁工法」の欠点を改善した工法全般を指します。
木造には大きく分けて、「軸組工法」、「枠組壁工法」、「次世代工法」の3種類の工法があります。
軸組工法
「木造軸組工法」は日本古来の工法で、「在来工法」とも言われます。寺社建築に採用されている「伝統工法」を住宅向けにアレンジしたもので、柱を立て、梁を水平に渡し、筋交いという斜めの補強材を使って構造で家を建てます。
軸組工法は主に柱や梁で構造を支えます。この柱や梁の場所はかなり自由が利くので、一般に間取りの自由度が高いと言われています。後々の増築・改築や間取り変更にも対応しやすいのが特徴です。
また、柱・梁の位置がある程度自由に調整できるので、枠組壁工法に比べて、柱と柱の間隔が空いた大空間のある間取りや、大開口の窓を作りやすくなります(枠組壁工法と比較した場合の話で、筋交いが必要である以上、絶対的な部分では鉄骨造には劣ります)。
一方、木造軸組工法は、柱と梁の接合部で切り欠きができ、強度がどうしても低下しますので、耐震性の面では面全体で構造を支える壁工法のほうが有利です。
※軸組工法でも現在では接合部にボルトや金具をある程度使用するようになっており、耐震基準は当然クリアしていますので、相対的な話です。
枠組壁工法
「枠組壁工法」は角材(2インチ×4インチで作られた木材をツーバイフォーと呼ぶ)と木製パネルで壁や床、天井という面を作り、この面を組み立ててできる6面体の構造をベースに家を建てます。
※より太いツーバイシックス材(2インチ×6インチ)を使う工法もあります。
枠組壁工法の長所短所は軸組工法の逆です。
面で支えるために耐震性には優れますが、支える面の強度が下がるために大きな窓などを付けることが苦手な傾向にあります。また、構造上外せない壁なども出来てしまうため、軸組工法と比べて間取りの自由度が下がります。
確かに住友不動産の間取りプランは、2×4工法だからか、ほぼ長方形のゾーンだけで構成されてた…。
枠組壁方向の大きなメリットとして、パネルで家を覆うために、高断熱・高気密の住宅にしやすいという点があります。
圧倒的な高断熱・高気密を武器にオーナー急増中の一条工務店は代表的な枠組壁工法のメーカーよ。
高気密の弊害で結露しやすいというデメリットがあるから、一条工務店は換気にも力を入れてる。性能面ではちょっと羨ましい。
次世代工法
ここで紹介する「次世代工法」は、軸組工法の欠点を解消した上位互換の工法として理解しておけばOKです。
住友林業が採用している「ビッグフレーム構法」と、「シャーウッド構法」や「SE構法」などの「金物工法」などが該当します。
シャーウッド構法
積水ハウス自身は積水ハウスのシャーウッド構法を木造軸組工法の一種としていますが、木造軸組工法をベースとしつつ、柱と梁の複合部にはメタルジョイントという金物を使ったり、一部耐力壁を使ったり、鋼管のブレースを使ったりと、複合的な工法です。
https://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/products/shawood/technology/anshin/
SE構法
SE構法は株式会社エヌ・シー・エヌが開発した工法で、エヌ・シー・エヌから認定された工務店などが採用している工法です。
SE構法は、木造軸組構造の接合部に金属のボルトや専用の受け金具を使うことで、木造軸組み構造の欠点だった接合部の強度を上げ、耐震性を大幅に向上させた工法
です。
強度が非常に強いために、軸組工法や壁工法のようなブレースや耐力壁を削減でき、大空間・大開口を実現できます。
ビッグフレーム構法が住友林業のみ、シャーウッド構法が積水ハウスのみでしか施工できないのに対して、エヌ・シー・エヌから認定されていていれば、全国の様々な工務店(500社ほど)で採用できるオープンな技術です。
ビッグフレーム構法
住友林業が採用する独自のビッグフレーム構法は、SE構法と同じく柱と梁の接続に金属製のジョイント(メタルタッチ接合)を採用しており、柱と梁の接合部が強固で、強度と大開口・大空間を両立させている点は同じです。
構造的に異なるのは、構造材に使うのがビッグコラムという幅560mmの壁のような柱である点、梁勝ちである点の2点です。
ビッグフレーム構法では、ビッグコラムを使って梁勝ちにすることで、間取りの自由度を大幅に向上させているのが大きな特徴です。
以下では、よく似た工法であるSE構法と比較しつつビッグフレーム構法についてさらに詳しく解説します。
ビッグフレーム構法の特徴(SE構法との比較)
ビッグフレーム構法とSE構法の共通点
共通点①:ラーメン構造
ビッグフレーム構法とSE構法はともに「ラーメン構造」を採用しています。
ラーメン構造の「ラーメン」とはドイツ語で「額縁」や「枠」を指します。
ラーメン構造は、建物を支える縦の柱と横の梁を剛接合(強固に接合して一体化)することで、強靭な「枠」を形成した構造です。
剛接合で分かりやすいのは、鉄筋をコンクリートで包んで一体化させた鉄筋コンクリート造や溶接で結合した鉄骨造ですが、木造の場合も金物を使って強力に固定する場合に剛接合と呼んでいます。
ラーメン構造以外に、ブレース構造や壁式構造というものがあります。ブレース構造は柱と梁のほかに交差するように筋交いを入れることで、地震の横揺れを筋交いに流す構造で、工法では軸組工法が該当します。
壁式構造は筋交いの代わりに耐力壁の面で建物を支える構造で、工法では枠組壁工法が該当します。
ラーメン構造のメリットは、柱と梁で建物の構造を支えるために、ブレース構造のような筋交いや壁式構造のような耐力壁がいらない点です(SE構法ではブレースや耐力壁はゼロにはなりませんが…)。そのため、ラーメン構造では大開口の窓などが取りやすくなります。
また、ラーメン構造では建物を支える構造躯体部分(スケルトン)と、暮らしに合わせて配置する内装、設備部分(インフィル)とを、個別に分けて設計が可能です。
スケルトン&インフィルは、将来のライフスタイルや家族構成の変化に応じて発生する間取り変更やリフォーム工事が簡単にできます。
実際、kikorist新邸では、子供部屋を建築当初は1つの部屋として作り、将来個室が必要になったら2つに分けられるようにしています。
そして、子供が家から出て行ったら再度1つの部屋にする予定。
5帖や6帖の部屋があっても物置になるだけだしね…。
くっつければ趣味部屋や来客用(子供世帯の帰省時の部屋)にもなる。
共通点②:垂れ壁が出ない
垂れ壁とは、構造上必要な壁や梁の一部が室内空間にはみ出たもの
です。
枠組壁工法(ツーバイフォー系工法)ではどうしても垂れ壁が出来てしまったり、床から天井高いっぱいの窓が取りにくかったりします。
上記の写真や下記の写真は、枠組壁工法を採用している三井ホームの公式サイトにある社員宅の実例です。
メーカーの公式に載せる実例でも、垂れ壁が出たり、天井高の窓が取れていません。これは三井ホームの問題ではなく、枠組壁工法(壁式構造)に共通する課題で、同じく枠組壁工法の一条工務店でも同じように垂れ壁が出たり、天井高の窓が取りづらくなっています。
こうした実例を見ても、個人的には垂れ壁はないほうがスッキリすると思います。
上の写真の実例も、垂れ壁がなければもっと広い空間に見えるのに…と思います。
見た目がスッキリするだけでなく、窓から取り込んだ光が垂れ壁に遮られることがないから、部屋の奥まで明るくなるの。
さらに、人は視線の先が明るいと空間を広く感じます(トンネルの先とか)。実際以上に広く見せるという面でも光は大事。
ラーメン構造では基本的に垂れ壁不要です
。垂れ壁はなしでも問題ありませんが、例えばリビングと続いた和室などを垂れ壁で空間を分けたいときなど、垂れ壁をあえて意図的に作ることもできます。
垂れ壁なし→ありは簡単だけど、垂れ壁あり→なしは難しいということです。
もちろん、垂れ壁以上に惹かれる点があれば、壁工法のハウスメーカーを選ぶのもアリだと思います。
あくまで垂れ壁がないほうがいいと思っているのは、kikorist夫婦個人の考え方です。
初回訪問の住宅展示場で営業担当氏に垂れ壁のない美しさについて滔々と語られた結果でもあります笑
家づくりは個人の自由ですので、自分がいいと思ったものが正義!
なお、壁式構造でも、天井高を下げて二重天井にするなど、設計の工夫次第で垂れ壁を見せなくすることは可能です(二重天井や天井高を確保しようとすると費用はかかりますが…)。
共通点③:木造
ビッグフレーム構法もSE構法も木造の工法です。
耐震性や強度、大開口/大空間を得意とするのは鉄骨造も同じですが、鉄骨ではモジュールが規定されており、細かな寸法の調整が不可能で、思い通りの間取りやプランが実現でないのが大きなデメリットとなっています。特にユニット工法と言われる工場でその大半を製造する鉄骨住宅は、その傾向が顕著で、大きな単位でしか寸法の調整ができません。
それに対して、BF構法やSE構法はミリ単位で設計が可能です。例えば、一部の廊下や階段だけ広く設計するといったことも可能で、鉄骨並みの大開口・大空間に、間取りの自由度が加わっているのが最大のメリットであり特徴です。
また、ビッグフレーム構法とSE構法では、材料として集成材を利用しています(シャーウッドも同様)。内装材では無垢が高級品として扱われて、合板は格下に見られがちですが、集成材や合板は加工を経ており、品質が一定、強度も計算しやすいというメリットがあります。
建物の構造に使う部材としては、自然のままでばらつきの大きな無垢材よりも工場で均一に加工された集成材のほうが優れていると言えます。
ビッグフレーム構法とSE構法の違い
従来の軸組工法や枠組壁工法と比較して、大空間・大空間を取りやすいのがラーメン構造のメリットです。
では同じ、ラーメン構造のビッグフレーム構法とSE構法は具体的に何が違うのか比較してみます。
相違点①:使用する構造材
ビッグフレーム構法では、幅560mmのビッグコラムという壁のような柱を使用することで、耐震性を確保しながら、大開口・大空間を実現しています。
SE構法は120mm×120mmの柱(4寸)で、ビッグコラムほどではないものの、木造で一般的な105mmの柱(3.5寸)よりも一回り太い柱を利用します。
ビッグフレーム構法の場合、ビッグコラムが入っている場所にはコンセントやスイッチ、エアコンの配管を入れることができません。スイッチなどを好きな場所に付けられない…と思いがちですが、ビッグコラムはミリ単位で場所を調整することができるので、スイッチ配置の段階で困ることが分かれば移動させればよいので、実はそんなに困ることはありません。
全く困らないとは言いませんが…そんなに気にならないというのが正直な感想。
また、ビッグフレーム構法のデメリットとして幅広なビッグコラムがある分、断熱としては不利になる…と説明されることもありますが、ビッグコラムは1本1本が強固な分、本数は少なくて済みます。SE構法の柱は1本1本はビッグコラムよりも幅は短い(=細い)ですが、その分本数を多く入れるので、断熱的には違いはあまりないと言える気がします。
柱周辺の一部だけ切り取って断熱材が入れられないというのはどうかなと思います。全体で見ないと。
実際、kikorist邸は6地域でUa値0.46とG2(断熱等級6)並みの断熱性能です。準防火地域で窓の種類に制限がある中でこの断熱性能ですので、自由に窓が選べる地域であれば、住友林業では比較的簡単に断熱等級6は実現可能です。
もう1つ違うのが室内空間です。ビッグコラムは一般的な木造軸組みと同じ105mmの厚さですが、SE構法では120mmを使用します。そのため、SE構法はビッグフレーム構法や軸組工法よりも室内空間が小さくなります。